何とはなしに、話半分

男子学生の考え事などをお送りするところ。

細胞は入れ替わっていくけど僕はこのまま

僕を形づくってきたもの。思い返してみればたくさんのものがある。

 

サッカー。中学生になりたての頃はバルセロナのサッカーに憧れた。その次はイングランドプレミアリーグに。僕の頭の中ではチームの司令塔として活躍するシーンがロングランで上映されていた。もしくは無尽蔵のスタミナでチームに貢献する中盤の要として。

出来もしないのに、シャビやセスク、ランパートの真似をしようと日々ボールを蹴っていた。

 

音楽。これはたぶん僕の多くを占めている。小さい頃に車の中で聴いた懐かしのJ-POP。ドラマの挿入歌になっていて知ったQueen。兄の影響で聴き始めた日本のロックバンドの数々。そして高校生になってから友人に引きずられるようにしてのめり込んでいったHR/HM。父の青春を追体験するように聴きかじったフュージョンやファンク。

大好きなギタリストは今でも、彼らが何歳になったって僕のヒーローだ。スラッシュにムステイン、今は亡きアレキシ・ライホ。そして誰よりも憧れた川崎亘一。

ベーシストだって負けていない。ギーザ―・バトラーにビリー・シーン、ヴィクター・ウッテン。もちろん原昌和は日本一だ。

 

およそ僕の10代までの生活は今までに挙げたものでできている。もう少し広げてみると他にもあるかもしれない。

 

村上春樹の初期三部作。何度も読み返したせいでいくつかのセリフを覚えてしまった。これらの小説のおかげで僕は大学生活を少し豊かにできたかもしれない。けど視点を変えてみれば随分と堕落していたかもしれない。

ヨルムンガンド。漫画作品の中で最も好きなものだ。初めて自分の小遣いで全巻揃えた漫画かもしれない。全11巻とそれほど長くはない物語だけど、今でも読み返せば同じように興奮できるし、何度だって考えさせられる。そんな作品だ。

ソニックアドベンチャー2バトル。ゲームキューブ時代の名作ソフトだ。僕にとってはソニックシリーズ、ひいてはアクションゲームにおける金字塔であり、いまだに当時の楽しさを追い求めてゲームをしているような感覚がある。BGMも大好きだった。リマスター版が出たら寝食を忘れてのめり込むことだろう。

一眼レフカメラNikonのD750という機種を大学生の時に買った。街の景色を切り取ったり、季節を象徴するような風景を写したり、モデルの子の魅力をどうにかして伝えようとしたり、色々な写真を撮ってきた。そしてこれからも撮っていくのだろう。

 

忘れかけていたが、他にもいくつか、ここ数年の僕の生活に欠かせないアイテムがあった。

煙草。はじめの頃はラッキーストライクを吸っていた。その後ピースやクールに寄り道をしていたが、最終的にはハイライトのメンソールに落ち着いた。今では紙巻き煙草を吸う機会は少なくなったが、それでも一箱吸い終わる毎についつい買い足してしまう。手元に置いておきたくなるのだ。

コーヒー。大学の三年生くらいまではむしろ苦手だった。試験勉強のお供として、当時の恋人に付き合って飲んでいたらいつの間にか好きになっていた、という絵に描いたようなストーリーがあったりする。特にマンデリンが好みだ。

エナジードリンク。これはかなり最近の僕を満たしてくれるアイテムだ。春から定期的にケースでまとめ買いをしてしまい、僕の家の冷蔵庫には常にこいつがいる。アルコールに強くない体質のおかげで酒にはあまり溺れてはいないが、カフェインには強いようで代わりにこっちを止められない。

 

今までに書き連ねた物たちは、きっと僕にとって大事なもので、僕の体の一部であるかのようにどれか一つを捨て去れと言われても難しいのだ。辞めてから随分経ったサッカーでさえ、今でも部活をやっていた時の夢を見る。それくらい脳に刻み込まれているのだろう。

僕の細胞は日に日に生まれ変わっている。健康的な食事を取っていないせいで、ご機嫌はだいぶ良くないだろうけど、それでも僕の体の組成は毎日少しずつ変化している。

人間の細胞はおよそ7年で完全に入れ替わるというのを読んだことがある。そうだとしたら僕は今までに3人の僕を代謝し、これで4人目ということになる。

成長も老化もしているという感覚はあるけど、心のどこかでは僕は変わっていない、昔のままだという気もしている。

それはきっと、細胞が入れ替わっても僕を形づくってきたこれらの物が今も心の中で息づいていて、死んでいないからだろう。

 

昔から好きなものに今もしがみついているようで、進歩が無いと感じられるかもしれない。

新しく好きになったものをいつまでも好きでいられると思い込んでいるだけで、すぐに飽きてしまうと思われるかもしれない。

それでも僕は好きなものに囲まれて生きていたいし、皆にも好きになってもらいたい。そして皆の好きなものを僕も好きになれたらもっといい。

 

新しい友達ができたら、まずはこう質問してみるんだ。

「君の好きなものは何?」

質問の意図が明確でなくて相手を困らせてしまうかもしれない。そのときは自分の好きなものを語りだそう。

相手の口から言葉が溢れて止まらないかもしれない。そうしたら喜んで聞き役に徹しよう。

誰かを形づくってきた「好きなもの」からお互いのことを知れるなら、それ以上に幸せなことはないだろうから。